#1

「異常な転光生が1度に五人現れて」
「新宿にギルドを立ち上げて」
「怒涛の勢いで他ギルドを吸収」
「それがウチ、サモナーズ。俺は下っ端の下っ端なんだけどね」
「ふうん」

「ガルムさん、よく全員と仲良くなれるよな」
「まぁ、あの性格だし?みんな好きだろ」
「そりゃまぁな」
「うわ汁飛ばすなよッ」
「"こっち"来てからラーメンに見事にハマっちまってよ、いやひかひうめえよなぁこれ」
「もぐもぐしながら喋るなよッ」
「で、トシオよ、おまえんほこどうなんだ?剣術指導ホウゲンさんだっへ、ケーサツのお偉いさんじゃねぇか」
「正直クソ逃げたい……いや俺はまだずっとマシなんだけどさ、セクハラが」
「そんなもんか。でも強いんだろ」
「メチャメチャ強い。強いんだけど、誰彼構わず―――いや、もちろん差異はあるんだけどよ、そいで台無し。あんのエロオヤジ……」
「ふうん」
「んで、マガミさんとこはどうなんだい」
「マガミじゃねぇってんだろ」
「いいじゃん、名前無いと呼びづらいしさ」
「なんか別なの無いのかよ。……まあ、こっちは普通かな」
「あれだろ?元赤坂のタダトモさん」
「いい人だよ。それなりに厳しいけど。サンゾーさんとニコちゃんさんとマルコシアスさんが大好き過ぎるだけで」
「好きな分にはいいじゃんか」
「でもなぁ……仕事中に褌の前を湿らせないで欲しいんだよなぁ……さすがにそこまでされると」
「ぅゎそれはさすがに無いかな」
「あとはな-、俺細かい作業が少し苦手で」
「情報部隊なんだからそこはちゃんとしろよ」
「わってるよ。練習してるっつーの」
「だから汁飛ばすなよッ」
「早く食わねぇと麺が伸びるだろ!」

「……キミは、転光生だね。狼獣人の」
「なぁ、それ、なんなんだ一体。テンコーセーって」
「ここでは無い、別の世界から、ゲートを通って来たヒトビト、らしい。ボクもあんまりよくわかってないんだ。ここに来たばかりでさ」
「ふうん」
「キミ、名前は?」
「…………名前か。無いな」
「そうか。ボクはサンゾウ。そう呼ばれている。"サモナーズ"リーダーの一人だ」
「ふうん」
「もしよかったらなんだけど、キミも、サモナーズに協力してはくれないかい?突然で悪いんだけどさ。悪いようにはしないから」
「それって、どんなことするんだ」
「この東京で、生き残る。それが一番の目的だよ。」
「生き残る」
「ここは、危険な所だ。この東京は。ボクが知ってる東京よりも、ずっと。」
「……そうなのか」
「いつかは変えられたらいいな、と思うけど、それより先ずは生き残らなきゃ。だから、固まって、互いを助け合うんだ。一時だとしても」
「その、テンコーセーってのには、子供も居るのか。お前も大分若いようだが」
「……ああ、いるね。」
「じゃあ、協力してやってもいい」
「本当かい、有難う!それじゃあ、ボクについてきてくれ。案内するよ」

「おう、お前ら何やってんだ」
「あ?誰だおめぇ、みどりのわんわんが何か用か」
「こっちは二人だぞ」
「……」
「見たところ強請りか?強請りだな?」
「人聞きが悪ぃな!ちょっと借りてるだけだぜ、なぁ」
「下手なこと言うんじゃねぇぞ」
「!…………たすけ、て!」
「おい」
「あんなこと言ってるぞ」
「チ、黙っててくれるよ、なぁッ!」
「……悪いが、それは無理だな。ここは閉鎖空間だ」

「助けてくれて、本当にありがとうございます。あの、俺、トシオっていいます。アンタは」
「名前は無いよ」
「えっ……じゃあ狼だし、大口真神からとってマガミさんとかよびますね」
「さすがに勝手に他人の名前を借りるのはやめろ」