#5

「片想い、で、想い人には既に相手がいる、と」
「…………」
「諦められないんだね。相談しに来るということは」
「……苦しくて、どうすればいいか判らないんだ。いっそのことこの気持ちを『離断』したくなるくらい」
「辛いんだね」
「先輩を見ると、胸がすぼまって、泣きたくなるんだ。駄目なのに、こんな気持ち。シンヤ、どうすれば良いのかな」
「イツキ君……」
「こんなこと相談しちゃって、ごめん。シンヤはシンヤでいっぱいいっぱいの筈なのに。忘れて良いからね、こんな事。聞いてくれてありがと」
「来たくなったら。また、いつでもおいで」
「……ありがと」

「我が妻よ」
「どうした、オピオーン」
「竜達が菓子を所望している。白獅子めらに作らせたスコーンが気に入ったようでな。見かけたら言伝を頼むぞ」
「うむ、引き受けよう。引き受けたからにはこのニコ、全力で遂行してやる。期待してくれたまえっ」
「ニコねーちゃんは危なっかしいから俺が言っとくよ。後で会うし」
「なっ、危なっかしいとは何だイクトシ!私がこれまで危なっかしかったことがあろうか!?」
「アンタはいつだって危なっかしいよ!見てらんないから。自覚して」
ぐぬぬ、オピオーン!私は危なっかしくなどないだろう?」
「其奴の云うことが一理あるな。だが妻よ、そのような所も、いやその様子こそ愛いものぞ」
「…………って事は、私は危なっかしいと……?そういうことか……?ぬううう認められるかっ!

「そういうところだよ……」

「朝じゃよ~バーゲストさん」
「ん……ん!?」
「メシはもうワシが作っといたからのう。ケンタも腹一杯じゃ」
「っ……すまん」
「ええんじゃええんじゃ!あんなに気持ちよさそうに寝とったからのう。休日の朝くらい、ゆっくりせんと。ちゃんこ持ってくるから、そのぅ……パンツを、じゃな」
「バカが。言われなくとも……」

「ふふ。こんな朝を過ごせる様になるとはな……」