#22

｢マルコシアス！｣
｢？ どうした、ニコよ｣
｢忙しそうだな、私が手伝ってやろう｣
｢いや、特に忙しいわけでは……まあいい。そこのほ乳瓶を取ってくれ｣
｢ほ乳瓶？ 少年はまだ乳離れしていなかったのか｣
｢何を言っている。それはモトスミ殿のものだ｣
｢なんだ……マルコシアスは乳が出ないのか。たわわであるというに｣
｢私から乳が出る訳が無いだろう｣
｢スノウは出るのだ。出てもおかしくはないだろう？｣
｢は？ そ、そうなのか｣

＊

｢あ、ベンテンのねえちゃん｣
｢アンタ今日も手伝い？頑張るわね｣
｢まあな！ はやいとこオヤジみたいにカッチョイイ男になるんだ。モテモテだぜ……｣
｢あ、そう。あぁ、ヨルヲがお菓子作ったんだって。これ。ホントアイツも人使い荒いわよね｣
｢お？ 妹達の分もちゃんと入ってるぜ……ありがとなベンテンのねえちゃん、ヨルヲのあんちゃんも気が利くぜ｣
｢……まぁ、そういうヤツよね、アイツ｣

＊

｢ひぃふぅみぃ、と。おう、ぴったしだな｣
｢いつもありがとう。助かるよ｣
｢いーんだよ、こっちも儲けさして貰ってるからな、ガチで！｣
｢おや、勇者……それに友よ｣
｢うわっ、んだよ驚かすんじゃねえよ｣
｢やぁチェルノボーグ｣
｢驚かしてなどはいないが……まさか、また何か不親切な商売を｣
｢かーっ！ 人聞き悪ぃこと言ってんじゃねぇよ全く！ 何でオレ様がそんなことしなきゃなんねーんだよっ！ 商売は信用第一だぜ、ガチで！｣
｢む、怒らせてしまったな。すまない｣
｢……調子狂うぜ、ホント｣