#23

「マカラさん、背中に乗せて」
「お、イツキ! 待ってろよ、いまオカに上がるからなぁ」
「ワンダー!」

「フォーゲル!」
「いつの間にか山に登っていたなぁ」
「登山は素晴らしいだろう、ワニの貴方!」
「そうだなぁ」
「マカラさんが着込んでる」
「キャーマカラサーン」「マカラサンエッチ!」「ロシュツサガッテギャクニエッチ!」

「こんちはー」
「なんじゃあ、バーゲストさんじゃないんかい」
「え? なんかすんませんね。ケンタくーん」
「こんにちは、緑のおじさん」
「おじ……こっちでおじさんと言われるとは……ヨルヲさん特製のクッキーを届けに来たよ。どうぞ」
「なんじゃあ、ワシには無いんかい」
「無いですよ……」
「ありがとうございます。緑のおじさん」
「あー、どういたしまして……じゃあ次のとこ行くんで」
「なんじゃい、ワシのちゃんこを食って行かんのかい」
「もしかして酔ってます?」

「ヨウル」
「はい」
「……お前が微笑むと、その……微笑みが、伝染る。胸がくすぐったくなって、オレの口も綻ぶ。だから、もっと近くで見せてくれないか」
「……はい」
「オレの顔、恐くはないか」
「先輩の顔は、とっても優しいです。それこそ、僕の胸がくすぐったくなるくらい」
「……そうか」
「あ、また優しい顔になった」
「お前も微笑んでいるぞ」