#18

「果物を贈るったって、どう贈れば良いのかわからなかったらどうしようも無いじゃないか……はぁ」
「急にどうした、先生」
「先生じゃないよ……イツキ君に果物を贈ったらどうかってアザゼルさんに仄めかされたんだけどさ」
「そうか。それ、オレあんまり役に立てそうにないな」
「え? あ、いや、でも。その気持ちが嬉しいかな」
「オレだったらどうすっか。迷惑掛けたくねぇから、置き手紙でも、かくか」
「じゃあ、僕もそうしようかなぁ」

「果物? えっと、ヴォーロスからか……こんどなにかお返ししなきゃなぁ。どうやって食べようかな」

「けふっけふっ」
「テムジン、大丈夫?」
「あぁ、問題は無い。さあ、殲滅の時だぞ、ヨルヲ」

「けふっこふっ、ぐふっ、けはっ……こふっ」
「お前、やはりかなり負担があるようだな」
「ペッ……ホロケウカムイか」
「伏せておきたいのだろう。心配せずとも他言はしない」
「その言葉、信じて良いのだな。裏切れば後は無いと思えよ」
「承知の上だ。薬草でも調合しよう、気分が楽になる」
「……何故そこまでしようとする」
「当然だ。お前は仲間だ、それに、我が英雄達の友だからな」

「そろそろ雨も多くなるのだな」
「洗濯物がロクに乾かねぇから困るぜ」
「……ぁあ、そうだな」
「雨は、大いなる自然の恵みだ。外で遊ばせられない時には、絵本等の読書をさせるのがよい。雨が幼子の心を育むのだ」
「少年は最近は冒険記に熱中しているな」
「うちのガキ共はまだ字も言葉も分かんねぇからな。おもちゃで遊ばせるぜ」
「ケンタは……あいつは何を読むんだろうな。そんな話、したことも無いかもしれん。今度、本でも買ってやろう」
「愛しき我が子らよ、健やかに育つが良いぞ……」