#36

「世界を滅ぼすのが我の役割」
「役割に縛られる必要はないんですよ」
「むう」
「コーヒーでも飲みましょう」
「ケーキを出そう」
「ボクはクッキーを出してくるよ」
しんやくうううんわたしわたしあなたのためにっ!」
「はいはい」
「はいはい」
「今日もすみません」
「仕方ないことだから」

「まつりじゃぞ~」
「歌舞伎町の話でしょう。我々には関係の無い事です」
「急におぬしのコスプレがしとうなったぞい。あてつけじゃ」
「服が伸びるのでやめてくださいませ。紅茶をお持ちしました」
「おお、すまんの。お主も食べよ~」
「仰せの通りに」
「やっぱ堅いのぉ。素直にわしと食べたいければそうすれば良いのに」
「む、特にそういうことがあるわけではいりませんが。私はまだ職務がありますのでそれを優先しても?」
「おえーーダメじゃ……わしが一緒に食べたいんじゃ」
「仰せの通りに」

「黄昏の、再現か」
「どうかした、フェンリル先輩?」
「何でもない。ただ泡沫に消えゆく思考の一片……砂漠の一粒砂、大海の一滴にすぎぬ些末事。それより鷲獅子よ、こいつをどう思う」
「え?なんだこれ?細い金属棒、って感じか。やたらぬらぬらして生臭いなぁ、それに少し温かい」
「我が猛き剛直から引き抜いたばかり、欲を磔にする杭だ。貴様も試すが良い」
「シトリー、それは今すぐ捨てるんだ。フェンリルさんいい加減にしましょう」