#11

「ふぅ……」
「先生、どうした。なんか、悪いことでもあったか?」
「え、いや、僕は先生じゃないよ」
「んでも、野菜のこと教えてくれるからな。オレにとっては、先生みたいなもんだ。そんで、なんかあったのか?」
「いや、ハハ……実は、気になってる人がいるんだ」
「イツキ、か?」
「そうそう。え? え?」
「あ、いや、テキトーに言ったら当たっちまった。すまねぇ先生」
「え、あはは、アステリオスは悪くないよ、あはは…………もしかして、バレバレだったりするのかな」
「いや、そんなことはねぇ。多分」
「そ、そっか。あの、このことは秘密で……」
「誰にも、言わねぇ。まぁ、言う人も大していねえからな」

「のう、ええじゃろ?」
アルスラーン様」
「今日の仕事も終わり、ここは誰も見とらん場所じゃ。わしはお主を求めとるし、ザバーニーヤ。お主も、本当は嫌では無いのじゃろう」
「私は……いえ、嘘をつくわけにもいきますまい」
「さあ、来い。今宵は寝かさぬぞ……」
「いつも思うのです。私めなどで宜しいのでしょうか」
「お主がよいのじゃ」

「ふふ」
「どうかなさいましたか」
「いえ……愛が実を結ぶ瞬間は実に良いものです。ええ」
「また何か覗き見ていらっしゃるのですね」
「ただの見守りですよ」

「ちぇるちぇるちぇる……」
「? どうした、勇者よ」
「ちぇるちぇるちぇる……」
「???」
「何を踊っているんだ後輩」
「ちぇるちぇる踊りですよ。ね、チェルノボーグ」
「我は知らぬ。巷で流行っている舞踊なのだろうか?」
「教えましょうか?」

「ちぇるちぇるちぇる……」
「ちぇるちぇるちぇる……」
「ちぇるちぇるちぇる……」
「うっわ何アレ。登山部って「ワンダーフォーゲル部だ!」……ワンダーフォーゲル部ってみんなこうなの?あたし嫌になってきた」
「いや、俺に聞かないで下さいよ。多分違いますよ多分」