#32

「ひいふうみぃ……と」
「何をしているのだ友よ」
「なっ……んだよ、オレ様は真っ当な商売しかしねぇぞ」
「? ……これは、お面、か」
「祭りで売るもんの確認してんだよ。えー、こいつが、クニヨシデザイン、クリスティーヌデザイン……」
「これが下界のお面という物か。随分薄く脆い素材なのだな」
「どうせ祭の面だからな。保つ必要がねぇんだよ」
「儚き命、か。祭でのみ咲き誇る花とでも例えようか」

「くううう」
「さぁ、頑張って全員確認してくれよ、ポール君?」
「シュウイチさんにカードで挑んだのが良くなかった……ッ、オイラ皆のワライモンだよぉぉ」
「そんなことは無い。その無鉄砲さは時に何よりも鮮やかに輝く物さ」
「……うう、そうすか?」
「そう。例えば囮にされた時とかには最高にね」
「もおおおやだぁぁあ助けてマカラさんんん」

「ただい……先輩?」
「おかえりヨウル。どうした」
「寒くないですか? 冷房何度に設定してるんですか」
「いや、暑くてな」
「もうすこし上げましょう。風邪ひいちゃいますよ」
「むっ、そ、そうか。盲点だった……」
「どうかしたんですか?昨日まで普通の温度でしたよね。ちょっと足りなかったですか」
「……足りないといえば、まぁ足りないのだが、その」
「……?」
「その、ヨウル。最近、あまりくっつけない、だ、ろぅ……………………」
「…………。」
「ちょっと死んでくる。校長にはうまく言っておいてくれ」
「あぁ先輩ったら! もう!」